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新潟家庭裁判所 昭和58年(少イ)2号 判決 1983年9月30日

被告人 小山恵子(昭二三・五・一三生)

主文

一  被告人を罰金二万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金二、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

二  本件公訴事実第二は管轄違。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、新潟市松美台五番一三号コーポ赤原一階において、スナツク「水中花」の名称で飲食店を経営しているものであるが、法定の除外事由がないのに、別表記載のとおり、昭和五七年一一月一五日から同月二〇日までの間、同店において、一八歳未満の労働者A(昭和四一年三月五日生)に対し、午後一〇時から午前五時までの間、六回にわたり、合計二四時間の深夜業に従事せしめたものである。

(証拠の標目)

編略

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも労働基準法一一九条一号、六二条一項、罰金等臨時措置法四条一項に該当するところ、各所定刑中いずれも罰金刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告人を罰金二万円に処し、右罰金を完納することができないときは同法一八条により金二、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することにする。

(公訴事実第二について)

本件公訴事実第二の要旨は、「被告人は昭和五七年八月上旬ごろから同年一一月二〇日ごろまでの間新潟市松美台五番一三号コーポ赤原所在スナツク『水中花』においてAをウエイトレスとして稼働させていたのに同人の労働者名簿を調製しなかつたものである。」というのであつて、右は労働基準法一二〇条一号、一〇七条一項に該当する。

しかるに、裁判所法三一条の三第一項三号によれば家庭裁判所は少年法三七条一項に掲げる罪に係る訴訟の第一審の裁判権を有するとされているが、本件公訴事実第二は右少年法三七条一項各号の掲記する事件に含まれず、また、判示事実(本件公訴事実第一の事実)と刑法五四条一項に規定する関係にもないから少年法三七条二項の場合にも当たらず、その他法律の特別の定めもないので、本件公訴事実第二は家庭裁判所の管轄に属しないことになる。以上のとおりであるから本件公訴事実第二については刑事訴訟法三二九条本文により管轄違の言渡をする。

よつて主文のとおり判決する。

検察官高橋晧太郎公判出席。

(裁判官 小川正持)

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